解 題
 
尾張藩主・徳川光友の次男である初代美濃高須藩主・松平義行(崇巌院)の所蔵していたのを、尾張藩家臣の天野信景(あまの・さだかげ)が寛永六(1629)年に書写したものである。新葉和歌集の編者、あるいは李花集の作者として知られた宗良親王(後醍醐天皇皇子)とその御子・尹良親王(ゆきよし・しんのう)、さらにその御子・良王君(よしゆき・ぎみ)のご生涯を綴り、あわせてこれら親王方に供奉した武士たちの末路を記している。尾張・三河・信濃の南朝伝承である。

信濃・浪合村には尹良親王をお祀りした神社や御墓があるが、本書の内容は伝承に近く、実否は不明である。なお筆写した天野信景は尾張藩の国学者、本書でも登場する天野遠幹の子孫といい、さまざまな知識を習得した偉人である。その随筆集「塩尻」には南朝関連の事項も多く収められている。


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