藤の康元歌の事
 
藤原康元が山家水という題で、

 うらやまし 同じ山路も かげに住む 岩かき水の 清き心をば

とお詠みになって、この歌を庵の障子に張りつけて下さいなどとおっしゃります。たいそう風雅なことです。そのようにしておいたところ、見る人は必ず「これはどなたの歌ですか」とお誉めになります。


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