尹良親王 ・ 前 歴
 
大和吉野にあって正二位中納言征夷大将軍。元中三年丙寅八月八日、源姓を賜った。応永四年、新田・世良田・小田・桃井などが尹良親王を大将と仰いで上野国にお移りになった。お供の人々は大橋修理・岡本左近・山川民部・恒川左京で、新田の四家という。このほか七名字は公家の人たちのお供であった。

飯谷の井伊助道政が親王をお守りして富士の宇津野にお移しし、田貫の館に入っていただいた。田貫の娘は新田義助の妾であり、宇津野越中や富士十二郷の者がお守りした。翌五月に宇津野をお発ちになって上野国へ赴かれた時に、鎌倉の兵どもと柏坂で戦い、親王を丸山城にお入れした。それより甲斐国へお入りになり武田右馬助がお守りして、八月十三日上野国寺尾にお入りになった。新田・世良田・桃井らが馳せ集まってお守りした。


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