宗良親王伝 9
<正平24年>
一品の宮は十余年の歳月を上野信濃の間にお送りになって、正平廿四年の夏、民部卿葉室光資を信濃に留め置いて尾張国犬山へお出でになって、同国羽豆崎(●新葉集に礒辺里とあるのは知多郡羽豆崎にある村のことである)より船に乗って伊勢路を経て吉野にお越しになり、故院(後村上天皇は正平廿四年三月崩御)の御陵にお参りになって仏事などを執り行われた。そして同冬、信濃へ下向された。


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